そもそも愛犬の食欲不振の原因は?

言葉を発しない動物にとって、食欲とは健康のバロメーターになります。『うちの犬は今までご飯を残したことが無い』『好き嫌いはしたことがない』という飼い主さんは多くいるのではないでしょうか。そんな方にとって、いつも元気で食事を完食してくれる愛犬が食事の食い付きが悪かったり、残したりするととても心配だと思われます。食欲が落ちてしまうような原因はさまざまな原因が考えられますので、原因を探る手助けにしていただければ幸いです。

食欲が減ったのはいつから?

まず大事なのは食欲がいつから、何割くらいに減ったのか、ということです。何か食欲が減る前に何か思い当たるイベントはあるでしょうか。たとえば、食事を変えた、食器を変えた、家のそばで工事が始まった、発情期があった、もしくは消化できないものを食べてしまった可能性があるなど、些細なことから考えていきましょう。また、元気はいつも通りあるか、排便排尿には問題がないか、ということも犬の健康状態を図るうえでとても重要なバロメーターになります。(万一、嘔吐や下痢がある場合は、体の脱水も進むので、早く動物病院を受診しましょう。)
ただ、元気があるものの徐々に食欲が減ってきた、食べるのが遅くなったという程度なら少しは原因を考える余地もありますが、もしも、元気も無くなってきていて食欲もないという状態でしたら早急に動物病院を受診することをお勧めします。
犬は生後約1年経って成犬になった後は、人間の年齢に換算すると1年に4歳ずつ歳をとっていると言われています。つまり、『人間が1日ご飯を食べない』というのは『犬が4日ご飯を食べていない』のと同じことを意味します。1週間もそんな状態があったら、犬にとっては1か月ですから、命に関わる状態だということは分かっていただけると思います。

体重を測る習慣を作りましょう

少し話は逸れてしまいますが、食欲が落ちているように思っても何らかの形でその分のカロリーをおやつで摂取していることも少なくありません。または食事量が減っていても、徐々に歳をとって活動量が減ったり、代謝が落ちることで、体重は変わっていないことも少なくありません。
ほとんどの犬がおやつをもらう習慣があるかもしれませんが、おやつはあくまでもおやつで、食事ではないので『食事をあまり食べないくらいおやつを欲しがる』習慣が思い当たるようでしたら、よくありません。食事を主軸にしましょう。そして、年齢に応じて代謝が落ちているようでしたら、食事を次のライフステージのものに変更することも重要です。
これらの指標として、体重を日常的に測る習慣をつくりましょう。犬だけを体重計に座らせて測るのは難しい場合もあるので、『飼い主さんが抱っこして測り、飼い主さんの体重分を引き算する』と簡単です。食欲と体重を合わせて評価することが大切です。
では、食欲が低下する原因と対処法を考えていきましょう。

食事を変更した

食事の種類を変更される時に、食事を新しいものに突然変えてしまうと、全く食事を食べなくなってしまうことがあります。食事を変更する際には、今までの食事と少しずつ混ぜながら変更していくようにすることで、このようなことを防ぐことができます。
例えば、7歳になって少しずつシニア用の食事に変更されることもあると思います。この時にあまり食べが悪くなってしまうこともありますが、それは味の変化が原因の一つかもしれません。もちろん成長段階に応じて、シニアのステージの食事に変更することは体に対する負担が減るので、とても大事なことです。でも、脂肪の量や蛋白質の量が制限されていたり、カロリーが抑えてあるので、味も成犬用の食事と比較すると劣ってしまうというと聞いたことがあります。いきなり食事をがらっと変えると嗜好性も落ちて、犬も食べたくないと思うかもしれないので、徐々に変更していきましょう。きっと徐々に馴らしていけば、問題なくシフトすることができると思います。
(こまやかな変化にも敏感に反応してしまう犬は食器が新しいものに変わっても、食べるのを嫌がる犬もいます。)

おやつを与えている(おやつは食べる・欲しがる)

前述したように、おやつは欲しがって催促して食べるのに、食事は食べないということはありませんか。もしおやつは喜んで食べているようでしたら、現時点では健康に問題がない可能性も多いにあります。夏になって食欲が落ちてしまった時に、このような行動を見せる犬も多くいます。おやつを食べて食欲を満たして、ご飯は食べないで我慢していると、飼い主さんがまたおやつを出してくれたりする…ということを犬も理解していることも多くあるのです。そして夏で生理的に食欲も低下する時期なので、おやつだけ貰えれば、やり過ごせる犬もいます。悪く言うと犬のワガママです。
ただ現時点ではワガママで済みますが、将来的な健康を考えるととても心配になりますので、このような行動が見られた場合は要注意です。少しずつおやつの量を減らすことは、飼い主さんが心を鬼にして根気強く行いましょう。
きっとおやつを減らしても初めはご飯も食べないかもしれませんが、これしか食べ物は出てこないとわかれば犬も少しずつ食べてくれるはずです。これに際して置き餌にすることも避けましょう。犬の心理として、ご飯が常に置いてあるとだらだら食べるくせがあります。だいたいご飯を出してから15分でさげるのが目安です。可愛い犬にそんなことをするのは可哀想と思われるかもしれませんが、長期的に見たら犬の健康を思いやることにつながります。

気温の変化

暑い夏になると生理的に食欲が減少し、寒い冬にはたくさん食べて体を保つというのが生き物の正常なバイオリズムです。急に暑くなったなどの変化があるようでしたら、これが原因の可能性もあるかもしれません。

歯が痛い

特にシニア犬の場合、実は歯を痛がっていて食べたいのに食べにくい、ということもあります。硬いドッグフードをぽろぽろと口からこぼしていませんか。口を気にする素振りはありませんか。もしくは、よだれで前足が汚れていることはありませんか。これらの症状は、歯周病の症状です。
現在、犬の多くが抱えている病気が歯周病です。初めは歯垢、歯石が付くことで、徐々に歯周病菌が増え、炎症が起こり、結果としては歯の根元の骨が溶けてしまう病気です。歯の痛みを感じて食べるのをためらうレベルだと、歯の状態はかなり悪い可能性があります。犬の体の状態も考慮した上で、獣医師の判断で全身麻酔をして歯の掃除をしてもらう、歯を抜くなどの処置をしてもらうことが重要になってくるでしょう。
ドライフードをふやかして与えたり、缶詰を与えることで少しはたべやすくなる可能性もあります。でも結局のところ歯の状態には何も変わらないので、根治するためには、歯の処置をしてもらうことをおすすめします。ぐらぐらしている歯を抜くことで、痛みもなくなり、食欲が改善した犬もいます。ちなみに、犬はほとんどの歯を抜いてしまってもドッグフードをそのまま食べることもできるので心配はいりません。でも犬の様子を見て少し食べにくそうであれば、ふやかしたり、缶詰を混ぜたり、工夫をしてあげるといいでしょう。歯周病を放置することで、心臓や腎臓にも悪影響をもたらす可能性があるので、一度獣医師に相談をしてみることをおすすめします。

何らかのストレスを感じている可能性がある

食欲が減った時期の前に犬がストレスと感じるような出来事はありませんでしたか。たとえば、家の近くで工事が始まってうるさい、動物病院・トリミングサロンなどいつもと違うところへ行ったなど、人間からしたら大したことではなくとも犬は敏感に反応して食欲が落ちてしまうこともあります。同じイベントでも、ストレスを感じる犬と感じない犬があるので、性格をしっかりと考えてあげることが大事ですね。
避けられないイベントは仕方ありませんが、何か改善ができるようなことがあれば、少しでもストレスを緩和させてあげましょう。

メス:発情期の前後、オス:発情期のメス犬に会った

避妊手術を実施していない雌犬は1年に2回発情期が来ますが、この時期に際して食欲が低下したり、体調不良を訴えることもあります。陰部からの分泌物で飼い主さんも発情期は分かると思いますが、発情期に同調して食欲が変化するようでしたら、この可能性もあると思います。
また雄犬は発情した雌犬に会ってしまうと、興奮してしまい、食欲もなくなってしまうこともあります。これは去勢手術をしていない雄犬に限らず、去勢手術をしている雄犬でも興奮してしまうことは避けられない可能性があります。また、直接会っていなくても、臭いだけでも反応してしまう犬もいます。
この時期の食欲低下は仕方ないので様子を見るしかありません。あまりにひどいようであれば避妊手術をすること去勢手術をすることも検討されるべきかもしれません。

病気による体調不良

以上の原因が考えられない場合は、病気による食欲の低下の可能性もあります。内臓の病気から感染症まで、どの病気でも体の調子がある一定以上悪くなれば食欲は落ちてしまいますので一概に言うことはできません。心臓病でも、腎臓病でも、肝臓病でも、胃腸炎でも鼻炎でも食欲の低下は起こりうる症状なのです。食欲低下以外には何か症状はないでしょうか。飼い主さんが気づく変化は獣医師が診断をするにあたってとても重要なのです。吐いた物や下痢などがあればそれらも持参するといいでしょう。

どんなに小さいことでも、もし何か気になることがあれば動物病院を受診することをおすすめします。たかが食欲が少し減っただけと思っていても、実は何らかの病気の症状の表れの可能性があるためです。特にシニア世代に入ってからは、半年に1回~年に1回は健康診断を受けることも大事でしょう。

No comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*


CAPTCHA



次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>